朝日新聞デジタルの「小保方さん、『大人AKB48』で歌手デビュー!(うそ)」
更新日:2018-02-25 01:07:02 61659
まとめ
小保方晴子です。よろしくお願い申し上げます。
ご存じの通り、今私は八方塞がりの状態です。生き地獄です。
自分で撒いた種とはいえ、本当にどうしてこうなることを予測できなかったのか。普通に考えればわかることなのですが、あの時の私には、その感覚がありませんでした。ただ無邪気に「こうだったらいいなぁ」と心に浮かぶまま、近道を作ってその光景を反芻していたというか。毎日毎日をラボだけで過ごすうち、人としての感覚が麻痺していたとしか言いようがありません。もちろん、それが私の犯した行為の説明になるはずがありませんが。
もう全て無くしました。今後私を雇ってくれる研究所はないでしょう。理研も解雇という形は取らないまでも、私が自主的に姿を消すことを望んでいるはず。この前の会見を見て、それを痛感しました。収入のあてはゼロですが、国費である研究費返還といういばらの道が待っています。額も莫大です。その上日本中に顔を知られて、ひっそり身を立てることももうできません。
何も考えたくない。自分を消し去ってしまいたい。……ですが、このまま一生逃げ続けるわけにもいかないのが現実です。
どうせ落ちる地獄なら、いっそもっと深いところへ落ちてしまおうか――。そんな考えがふと過り、今私はある計画を立てています。それは、「30歳以上対象の『大人AKB48』応募」です。自分で言うのもアレなんですが、実は歌は結構イケます。他もいろいろ。もし合格できたら、バッシングを乗り越え、いっそこれくらいの開き直りがいい、こんな生き方もあるんだ、人はいつでもやり直しがきくんだ、というところまで世論を持って行く自信があります。
デビュー曲は「人生切り貼りしちゃえるNO!」。古い感じで逆に。大体のイメージはできているので、あとは新垣さんに曲を作って頂ければ、話題性も十分かと。
……だって他にどんな生き方があるんですか! あるんだったら逆に教えて頂きたいです。私の立場に立った、リアルな道を。
小保方さんへのお答え
それでいいんじゃないでしょうか。
ここまで顔も名前も知られてしまったら、確かに田舎でひっそりなんてことも不可能ですね。自己顕示欲の目盛り強めのあなたには「あの小保方さん、イオンの総菜売り場バイトでやっぱり割烹着姿!」などと報じられるのは、死ぬより辛いに違いありません。
それより、「イチかバチかのバチ当たり! ラボから出てきてホラ話! 千葉県出身、小保方晴子で~す!」と堂々とキャッチフレーズを口にし、胸を張るあなたの方が、あなたらしい気がします。お金を稼いでくれた方が国費も取り戻せますし。話題探しの秋元康先生もきっと飛びつく、実に名案です。
あなたの本当の発見はこれだったのですね。こちらは人類には何の足しにもなりませんが。今度はどうか実を結びますよう、願ってやみません。
◇
■「毒出し」コラムニスト今井舞さんが、有名人の架空のお悩み「ウソうだん」を勝手に考え、勝手に答える「ウソうだん室」。隔週掲載、次回は4月4日の予定です。
PROFILE
今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍する「毒出し」コラムニスト。鋭い観察眼、深い洞察力の辛口な人物・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。素顔は秘密。
今回のお悩み相談者:小保方晴子さん