コロナ感染の30代女性後遺症で毛が抜け頭頂部はまばらに
更新日:2020-12-11 02:29:38 13062
30代半ばのAさんは、秋口に新型コロナに感染した。発症後は38度台の発熱とひどいせきが続き、肺炎所見もひどかったため入院治療を受けた。
その後、呼吸器症状も改善し、ようやく職場復帰をしたところだった。
退院後は、私のクリニックで経過をみていた。せきは大きく息を吸い込んだりした時に出るくらいで、だいぶ改善した。
嗅覚は半分くらい戻ってきたという。甘い、塩辛いはわかるが、コーヒーの香りなどは、はっきりしないようだ。
体のあちこちに湿疹もできているが、Aさんが一番気にしている症状は脱毛だった。
洗髪や髪をとかす時、驚くほど髪が抜ける。
人目が気になるほどの薄毛に
Aさん自身、なんらかの後遺症があるかもしれないとは思っていたし、匂いが完全に戻らないのも、湿疹ができてしまうのも仕方ないと受け入れていた。
しかし、脱毛は想像以上に心の負担になり、他人の目が気になって外に出るのもつらいと涙ながらに訴えた。
たしかに脱毛の程度はかなり深刻で、頭頂部の毛髪の密度は、まばらと言えるほどで30代の女性には酷な状況だ。
脱毛は、このところ問題になっているコロナ後遺症の一つである。
コロナ感染による炎症、免疫低下、体重減少の影響や感染後の精神的ストレスなど様々な要因が考えられているが、今のところはっきりとは解明されていない。
2~3か月後に表れる
感染後すぐではなく、2~3か月経過してから症状が目に見えてくる方が多く、コロナ感染の軽症例でも報告があるようだ。
今のところ原因がはっきりしておらず、治療としては、一般的に円形脱毛症に使用される外用薬を試してもらっている。
ステロイドのローションタイプと塩化カルプロニウム外用液(フロジン外用液)は、医療機関で処方できる薬である。
「外に出るのもつらい」