穀物積み出しのオデーサ港にロシアがミサイル
更新日:2022-07-25 02:19:40 5258
ウクライナ軍によると、23日午前、同国南部の黒海に臨むオデーサ港がロシア軍のミサイル攻撃を受け、一部の施設が爆発した。
同港は22日に国連、トルコがロシア、ウクライナとそれぞれ署名した食料輸出再開のための合意文書で積み出し港に定められている。関係者は相次ぎ攻撃を非難した。
発射された4発のうち2発は迎撃されたが、2発が港の施設に命中したという。同国農業省はオデーサ港に数日内の輸出再開に向けた穀物がすでに用意されていたとしている。ウクライナのウニアン通信は、着弾したのは揚水設備で、同じ区域内の穀物倉庫は無事だったと伝えた。
合意を仲介したグテーレス国連事務総長の副報道官は23日、「事務総長は本日のオデーサへの攻撃を明確に批判する」との声明を出した。さらに合意について「昨日、すべての関係国、機関がウクライナの穀物と関係産物を世界市場に確実に移送することを誓った。完全な履行は必須だ」とし、輸出を再開するよう釘を刺した。
ロイター通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は「(攻撃が)意味するのは、ロシアは何を約束しても実行しない方法を見つけ出すということだ」とコメントした。
ニコレンコ外務省報道官も「ロシアのプーチン大統領はグテーレス氏や(ともに合意を仲介した)エルドアン・トルコ大統領の顔につばを吐いた」と批判した。一方で、ウクライナの担当閣僚は「食料輸出再開に向けた技術的な準備を続ける」とし、合意を履行する意思を示した。(喜田尚)
オデッサ港へのミサイル攻撃、ロシアが関与否定
ウクライナとロシアがトルコ、国連の仲介で穀物の海上輸送の再開について合意した翌23日、ウクライナ南部オデッサの港がミサイル攻撃を受けたことを巡り、トルコのアカル国防相は23日夜、ロシア側が関与を否定していることを明らかにした。
アカル氏によると、ロシア側はミサイル攻撃について「全く無関係だ」と全面否定した上で、「事案の詳細について調査している」と述べたという。ウクライナ軍によると、使われたミサイルは巡航ミサイル「カリブル」で、黒海で活動する戦艦から発射されたとみられる。4発のうち2発を迎撃し、残り2発は港のポンプ場に直撃したが、被害は小さいという。
アカル氏は、港から穀物を輸送船に積み込む作業に影響はなく、合意の履行は「継続できる」との認識を示した。ウクライナのクブラコウ・インフラ相もフェイスブックに「穀物を輸出するための準備を継続する」と投稿した。
国連によると、穀物輸送はオデッサなど三つの港から穀物を船に積み込み、黒海からボスポラス海峡を通じて目的地に向かう。またロシアとウクライナ、トルコ、国連の4者による「共同調整センター」を設置し、海上輸送を監視する。国連のグテレス事務総長のハク副報道官によると、グテレス氏は合意から2週間以内に輸送再開が可能になるとの見方を示していた。【エルサレム三木幸治】
ロシア、オデッサ港へのミサイル攻撃認める
食料輸出合意の翌日に