中国ミサイル 日本のEEZ内に5発落下
更新日:2022-08-05 02:32:49 2358
岸信夫防衛相は4日、中国が台湾周辺海域で予告していた軍事演習で弾道ミサイル9発を発射し、うち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)の内側に落下したと推定されることを明らかにした
中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下するのは初めて。政府は中国へ外交ルートを通じて抗議した。
中国は4日午後3時ごろから午後4時過ぎにかけ、9発の弾道ミサイルを発射し、うち5発について中国が公表していた沖縄県波照間島の南西に設定された訓練海域の中のEEZ内に落下。他の4発はいずれもEEZ外で、1発は沖縄・与那国島の北北西、2発は台湾南西、1発は台湾北部に設定された各訓練海域に落下したと推定される。
船舶や航空機への被害情報は確認されていない。
防衛省は落下したミサイルの弾種などを分析している。岸氏は「日本の安全保障や国民の安全に関わる重大な問題で強く非難する。非常に威圧的な訓練だ」と述べた。
中国軍の関係者「重要軍事演習」は“日本も念頭に実施”
アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に反発し中国が台湾周辺で行っている「重要軍事演習」について、中国軍の関係者は日本も念頭において行っていることを明らかにしました。
中国軍の教育機関である国防大学教授の孟祥青氏は4日、国営の中央テレビの番組に出演し、台湾を取り囲むように行っている「重要軍事演習」について「北側の2つの区域は沖縄に近い」と発言。
演習の対象が日本や沖縄の米軍基地を含んでいることを示唆したうえで、「外部勢力の干渉に対する強烈なシグナルを送っている」とその意図を解説しました。
また、中国中央テレビによりますと、中国軍が発射したミサイルが初めて台湾の上空を通過したということです。
一方、台湾の蔡英文総統は4日、今回の演習について「台湾海峡の現状を破壊し我々の主権を侵害するだけでなく、インド太平洋地域の緊張を高めている」と非難。国際社会に対し、中国の軍事行動を止めるよう協力を呼びかけました。
中国政府「日本のEEZの主張受け入れない」
中国軍が4日から台湾周辺で行う軍事演習の対象地域に日本のEEZ=排他的経済水域が含まれていると日本政府が懸念を表明したことについて、中国政府は「日本の主張は受け入れない」などと反論しました。
この演習の対象地域に日本のEEZが含まれていることから、日本政府は3日、中国側に対し懸念を表明したことを明らかにしましたが、中国外務省の華春瑩報道官は記者会見で反論しました。
中国外務省 華春瑩報道官
「中日は関係海域でいまだ境界線を確定しておらず、中国は日本のEEZの主張を受け入れない」
また、華報道官はペロシ氏の台湾訪問について「彼女が挑発したのは、全人類の5分の1にあたる14億の人口をもつ中国だ」などと改めて非難しています。
中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下するのは初めて