歌手、モデルで契約しておいてAV強要する芸能事務所が多発している
更新日:2022-12-04 22:36:38 1853
「AVに出たことで恋愛も結婚もできない。自己責任ですね」
そう語るのは、ユーチューバーとして活動する、くるみんアロマさん。
意に反してAVに出演した過去を持つ。
つらい思いをする人が1人でも少なくなればと、胸の内を打ち明けてくれた。
それは10年前の夏。
東京・新宿で「グラビアモデルを探している」と声を掛けられたのが始まりだった。
(くるみんアロマさん)
「バンドを組んでいて音楽デビューしたいと思っていた。『グラビアで水着になったら音楽デビューさせる』と言われ、22歳で最後のチャンスという気持ちがあった」
半年ほどしゅん巡した結果、水着のグラビアに出演することを決めた。
しかし、プロダクションからは水着ではなくヌードでの撮影を求められた。
社長の高圧的な態度に断り切れずヌードの撮影に応じたところ、今度はAVの出演を打診された。
なかなか首を縦に振らないでいると、10人以上に囲まれ、説得されたという。
(くるみんアロマさん)
「スタッフたちから『わがままだ』とののしられ、何を言っても言い負かされ、自分が間違っているのではないかと冷静な判断ができなかった。AV出演にはすごく抵抗があったが、こんな状況になってしまったのは自分の責任だと思ってしまった」
最終的に出演を承諾したものの撮影では事前にできないと伝えていた行為も求められた。その後、事務所は倒産し、音楽デビューどころか出演料が支払われることもなかったという。
(くるみんアロマさん)
「脱いじゃったし、AVやっちゃったし、家族にも言えない。誰にも相談できないまま1人で抱え込んだ。どうしてもAVに出演したいと思えるならやればいいけど、後悔することも多いことを知った上で判断してほしい」
4人に1人が“スカウトされた経験あり”
こうした事例が必ずしも特殊なものだとは言えないことをうかがわせるデータがある。
2020年に内閣府が実施した調査結果だ。
全国の15歳から39歳までの女性2万人を対象にインターネットで行われた。
この問いに「ある」と回答した人は全体のおよそ25%(4916人)だった。
4人に1人が何らかの形で勧誘を受けた経験があることになる。
調査では、モデルやアイドルなどの勧誘を受けたり、応募したりした経験があると回答した女性で、協力を承諾した人の中から2575人を対象にさらに質問をしている。
《聞いていない・同意していない性的な行為などの写真や動画の撮影に応じるよう求められたことはありますか》
この問いに「ある」と回答したのは13%(345人)。
このうち求められた行為に応じた経験のある人は38%(131人)だった。
主な被害事例(その他)
街でモデルやアイドルにならないかと誘われ、個人情報を教えてほしいと言われた。教えても大丈夫?
事例
街でスカウトにしつこく声をかけられ、SNSの連絡先を交換した。その後、紹介してもらった事務所は、アダルトビデオへの女優を派遣しているプロダクションだった。
「絶対バレない」、「顔は映さない」等と言われて、アダルトビデオへの出演を求められた。本当に絶対バレない?
事例
「絶対にバレない」、「顔は映さない」、「目線を入れる」と言われアダルトビデオに出演したが、販売された映像には顔がはっきりと映っており、友人・知人に知られてしまった。
「高収入!」、「チャットで話すだけ」、「パーツモデル」というアルバイトの募集広告を見つけた。応募しても大丈夫?
事例
- インターネットで「高収入」、「アルバイト」で検索して見つけた募集広告から応募したら、アダルトビデオの撮影だった。
- 「チャットで会話するだけの仕事」と聞いていたが、画面越しに裸になったり、性的なことをするよう要求された。
- 「パーツモデルの仕事もある」と聞いていたのに、実際にはアダルトビデオの仕事だった。
書類(登録書、同意書、承諾書、契約書等)にサイン(署名)するよう求められた。書類に書いてある内容はよく分からないけど、サインしても大丈夫?
意に反するAV出演を後悔「誰にも相談できない」